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確定申告の消費税の計算|本則課税と簡易課税お得なのはどっち

確定申告の消費税の計算について「消費税の計算はどうやるの?」と疑問のある人も大丈夫!歯科開業支援と確定申告を得意とする税理士として30年以上顧問先様の確定申告に携わってきた私が、この疑問にお答えできます。今回は、確定申告の消費税の計算について、本則課税と簡易課税どっちが有利なのかを消費税の計算方法等から解説していきます。

本則課税と簡易課税でお得なのはどっちなのか

最初は、本則課税と簡易課税でお得なのはどっちなのかについてです。
本則課税と簡易課税でお得なのは、どっちなのかは、消費税の計算方法について理解しなければ分からないのです。
下記の消費税の計算方法を理解してもらうと、分かると思うのですが、簡易課税制度のみなし仕入率と、実際の仕入高に係る消費税額のどちらが多くなるかにより違ってきます。
結論としては、本則課税と簡易課税のどちらを選択するかは、事前に消費税の概算計算をしてから決める必要があります。

消費税の計算方法

次は、消費税の計算方法についてです。
消費税の計算方法には、本則課税と簡易課税の方法があります。

本則課税

最初は、本則課税についてです。
消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上高に係る消費税の額から課税仕入高に係る消費税の額を差し引いて計算した金額になります。
この計算方法を本則課税といいます。

簡易課税

次は、簡易課税についてです。
簡易課税制度は、中小企業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。
具体的には、その納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、
その基準期間(個人事業主の場合には、課税期間の前々年)における課税売上高が5千万円以下の課税期間につて、
売上げに係る消費税額に、事業種類の区分に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、
売上に係る消費税額から控除することになります。
簡易課税制度を適用するときの事業区分及びみなし仕入率は、次の通りです。

事業区分 みなし仕入れ率
第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業、農業、林業、漁業(食料品の譲渡に係る事業に限る)) 80%
第3種事業(農業、林業、漁業(食料品の譲渡に係る事業を除く)、建設業、製造業、電気業、ガス業等) 70%
第4種事業(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業及び第6種事業以外の事業) 60%
第5種事業(金融業、保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く)) 50%
第6種事業(不動産業) 40%

消費税の具体的な計算事例

例題1:売上高に係る消費税額100万円、仕入高に係る消費税額30万円、第5種事業の場合
①本則課税
100万円-30万円=70万円
②簡易課税
100万円-50万円(注)=50万円
(注)第5種事業は50%なので100万円×50%=50万円になります。

例題2:売上高に係る消費税額100万円、仕入高に係る消費税額80万円、第3種事業の場合
①本則課税
100万円-80万円=20万円
②簡易課税
100万円-70万円(注)=30万円
(注)第3種事業は70%なので100万円×70%=70万円になります。

例題1では、簡易課税を選択したほうが消費税の納付税額が20万円少なくなります。
例題2では、本則課税を選択したほうが消費税の納付税額が10万円少なくなります。
どちらがお得になるのかは、実際に概算計算をしてみないと分かりません。

消費税の計算方法について分かったと思うので、次は、消費税の概要についてお話していきます。

消費税の概要

次は、消費税の概要についてです。

消費税の納税義務者

最初は、消費税の納税義務者についてです。
個人事業者の消費税の納税義務者は、下記の①~③に該当するものになります。
①課税期間の前々年(基準期間)の課税売上高が1千万円を超える個人事業主
②課税期間の前年の1月1日から6月30日までの課税売上高、または給与支払い額が1千万円を超える個人事業主
③課税期間の前年12月31日までに消費税課税事業者選択届出書を提出した個人事業主

消費税の申告期限

次は、消費税の申告期限についてです。
個人の消費税の申告期限は、通常は、その年の翌年3月31日になります。

簡易課税の届出書の提出期限

次は、簡易課税の届出書の提出期限についてです。
簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署長に提出しなければなりません。個人事業主の場合には、簡易課税制度の適用を受けようとする年の前年12月31日までになります。

簡易課税制度の注意点

次は、簡易課税制度の注意点についてです。
「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合には、2年間は、本則課税に戻ることはできないので、気を付けてください。

まとめ

それでは、ここまでの内容を振り返ってみます。
「確定申告の消費税の計算について」悩んでいる人のために
「本則課税と簡易課税お得なのはどっちなのか」についての解説

  1. 本則課税と簡易課税でお得なのはどっちなのか:概算計算をしてから決める。
  2. 消費税の計算方法
    • 本則課税:売上に係る消費税から仕入れに係る消費税を差し引いて計算する。
    • 簡易課税:事業区分に応じたみなし仕入れ率を使用して消費税を計算する。
  3. 消費税の概要
    • 消費税の納税義務者:①前々年の課税売上高が1千万円を超える個人事業主,②前年の1月~6月の課税売上高が1千間円を超える個人事業主,③前年12月31日までに消費税課税事業者選択届出書を提出した個人事業主
    • 消費税の申告期限:通常は、翌年3月31日まで。
    • 簡易課税の届出書の提出期限:前年12月31日まで。
    • 簡易課税制度の注意点:一度選択すると2年間は、本則課税に戻れない。

この記事を書いた想い
今回、「確定申告の消費税の計算について|本則課税と簡易課税お得なのはどっちなのか」をテーマに記事を書いたのは、歯科医院の院長先生から、「本則課税と簡易課税お得なのはどっちなのか?」という質問をよく受けるので、それならば、消費税の計算について詳しく書いてみようと思ったからです。
そのためには、消費税の計算方法について解説をしたほうが分かりやすいと思ったので、消費税の計算方法について詳しく書いてみました。
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「歯科医院を開業する多くの先生方に本当に成功してほしい、そして歯科医院の廃業を減らしたい」そんな想いから歯科医院の院長先生に消費税で悩んでほしくないという気持ちからこの記事を書きました。
歯科医院を開業する院長先生の消費税のお悩みを解決することにより歯科医院経営で成功することを心から願っております。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございました。

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